15m超津波試算「信頼性ない」 東電キーマン初証言

10/16 20:26
巨大津波の可能性を知りながら、なぜ対策をとらなかったのか。
福島第1原発事故から7年7カ月、東京電力のキーマンが、法廷の場で初めて証言した。

激しく鳴り響く、線量計の警報音。

これは7年7カ月前、東日本大震災によって起こった東京電力福島第1原発事故から1週間後の敷地内の様子。

2011年3月に起こった東京電力福島第1原発の事故をめぐり、当時の経営陣3人の刑事責任を問う裁判で、16日、ヤマ場となる被告人質問が始まった。

強制起訴されたのは、東京電力の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3人。

3人は、巨大津波を予測できた立場にありながら、安全対策を怠り、病院の入院患者ら44人を死亡させるなどした、業務上過失致死傷の罪に問われている。

当初、3人について、東京地検は「原発事故発生は予見できず、仮に対策工事をしても防げなかった」とし、不起訴処分としていた。

しかし、これを不服とした住民グループが、不起訴について、無作為に選ばれた国民が審査する「検察審査会」に申し立てを申請。

そして2015年、検察審査会が、「起訴すべき」と議決した。

その決め手の1つとなったのが、この資料。
事故の3年前、2008年に東京電力内で作成されたもので、最大で15.7メートルの津波が襲来する可能性を試算していた。

この結果は、武藤元副社長にも報告されていたが、対策は先送りされたとしている。

フジテレビ社会部・平松秀敏デスクは、「(今回の裁判)ポイントは2つあって、1つは、あれくらい大きな巨大な津波が福島第1原発に襲来すること、それを予想・予見できたのかということ」、「もう1つは、仮に予見できたとして、それまでに十分な対策を講じることができたのか、この2点」と語る。

検察役の指定弁護士は、「報告をもとに、津波による原発事故の発生は予測できたが、武藤元副社長の指示によって対策が先送りされた」と主張した。

対する弁護側は、「報告書の元データは信頼性が低く、予見はできない」と指摘。

さらに武藤元副社長は、社内調査とは別に、津波研究を行う土木学会に分析を依頼していて、対策の先送りではないと反論している。

主張が分かれている理由について、フジテレビ社会部・平松デスクは、「15.7メートルの津波、実際そういう説があったが、これが当時の説として信頼性のあるものかどうか、一番のポイントになってくる」と語った。

原発の安全対策を担当し、16日、法廷に立った武藤元副社長は、裁判の冒頭で、「事故によって亡くなった方々、ご遺族、けがをされた方々、故郷をなくして生活が送れなくなった方々、いまだ避難生活が続いている方々、大変多くの方々に言葉で表せないようなご迷惑をおかけし、当事者として深くおわびいたします」と謝罪。

しかし、指定弁護士からの質問には...。

指定弁護士
「津波の試算結果については?」

武藤元副社長
「信頼性はないと思っていた」

指定弁護士
「なぜ?」

武藤元副社長
「わたしが聞いた範囲でも、新しい知見が出てきたわけではない。根拠がわからない」
「津波、地震、これだけの...、漠然というか、さらに今までの記録にないので、考えるのが難しい。専門家の意見も割れていると、信頼性はないと思った」

試算結果には、「信頼性がなかった」と発言した。

裁判は17日、再び武藤元副社長への被告人質問が行われ、今後は、武黒元副社長、勝俣元会長と続けられる予定。

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